根管治療専門医相談室

根管治療専門医、新藤健太郎がお答えします。

178.治療も長く触りすぎたために、根の先が崩壊しているのかもしれない

【Question 178】

ご相談させてください。

現在、左上6番(虫歯による抜随のため)、右上5番(半年前に虫歯により抜随済みでしたが、今回感染根幹のため)の根管治療をしています。

左上6番は、3月末に抜随し治療を開始、4月末に一度充填しましたが、痛みが出たため再度治療を開始しました。

その後、5回ほどリーマーなどによりお掃除を繰り返しましたが、なかなか回復しないため、自宅より遠いことなどの理由もあり、6月初旬に転院させていただきました。

転院先にて、残髄があることがわかり、お掃除を開始していただきました(週一回の通院です)。
6月末に、(打診痛や違和感は残っていましたが、)膿もなく根は随分きれいになったとのことで、一度、充填の一歩手前のお薬を詰めて3週間様子を観ました。

しかし、打診痛などが残っていたため、もう一回、お掃除をしました。

先生は、「今回かなり丁寧にお掃除しました。特によごれている感じもなく、一箇所だけ、根の先にリーマーを入れると痛みがあるようです。もしかすると治療も長く触りすぎたために、根の先が崩壊しているのかもしれない。しばらく何もせずに様子を観ましょう。」と言われまいした。

それから2週間近くたちますが、変化が見られません。。。
打診痛、軽く触れたときのゾワっとするような違和感が取れません。。。

右上5番は、転院先にて、6月初旬から治療を開始していただき、ここも残髄が見つかった後に、左と同じような治療経過をしていますが、同様に、打診痛、違和感がとれません。。。

妊娠中ということもあり、不安でたまりません。

このまま、お掃除を続けることなく、様子を観続けて良いのでしょうか?

また、先生でしたら、このようなケースをどのように判断されるでしょうか?

長くなり申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

【Answer 178】

こんにちは、根管治療.com の新藤健太郎です。

>治療も長く触りすぎたために、根の先が崩壊しているのかもしれない。

左上6番は、根尖の過剰拡大で痛みが出ているのではないかと推測されます。
根尖の過剰拡大は、ほとんど穿孔(歯に穴が開いている状態)に近い状態となります。

ファイルで触れば痛むし、細菌、洗浄剤なども根尖から出やすい状態です。
時に、難治性の慢性痛になりがちです。

対策としては、水酸化カルシウム製剤を根管に入れて、一定期間安静にする。
自費診療ならMTAという優れた材料があるので、その材料で封鎖する(私はこの方法が一番お勧めです)。
などがあります。

右上5番は、解剖的に複雑な歯の構造であることも多く、根管の清掃が行き届いていないかもしれません。

いずれにしても、根管治療に対する理解&技術の浅い先生の治療を繰り返し受けると、削りすぎor削り足りない、
(削り足りないのはまだなんとかなりますが)になってしまうので注意が必要です。

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