根管治療専門医相談室

根管治療専門医、新藤健太郎がお答えします。

69.根管充填後にも若干の炎症が残っている様子です

【Question 69 part1】

左下奥から2番目の歯についてです。1年以上歯茎や顎のあたりがズーンとすることがあり、おさまったり、痛みがでたり変な感じでした。硬いものは噛まないようにしていました。診察上、虫歯でもなく様子をみていましたが、ついに赤く腫れ上がり、膿の袋ができました。神経は既に壊死しており、根管治療に入りました。毎週通い3ヶ月ほど経っています。途中、痛みが復活したり、バイオフィルムがあったりで9回目ぐらいで根管充填となりました。このタイミングがよかったのか疑問です。以前のような痛みはないのですが、硬いものを噛むと抵抗があります。やはり右と左とでは違います。特に垂直の圧力に弱いようです。また、歯茎は最初ほどではないですが、膿があった部分はうっすら赤いです。このままかぶせても!
いのでしょうか。それと、咬み合わせたときなぜが治療中の左側のほうが高く感じます。今は詰物だけで様子を見ています。
レントゲン上、充填はうまくいっているようですが、まだ歯根の周りには炎症があります。この違和感は炎症のせいでしょうか。そして、炎症がおさまるとともに、正常になるのでしょうか。今後の経過が気になります。

【Answer 69 part1】

根管治療.com の新藤健太郎です。

早速ですが本題に入ります。

part1

根管充填後にも若干の炎症が残っている様子ですね。
根管治療は正確な治療ができるならば、一回で終わらせても成功率は変わらないと報告されています。
したがって、9回目での根管充填自体は問題ではないですが、問題は治療の質ですね。

治療中の左側のほうが高く感じるのは、本当に高いかあるいは打診痛があるためそのように感じているかもしれません。
詰物だけで様子を見ていてもいいですが、咬み合せの変化も起こるため、できるならば仮の歯をやや低めに入れてもらうといいでしょう。

正常に戻るかどうかは何ともいえません。

【Question 69 part2】

治療の質というのが気になります。

経過をたどってみますと、何度も通ったのは、痛みが治まらなかったからだと記
憶しています。重い物をもつのを避けたり、食事も柔らかい物に切り替え、恐る
恐る使っていました。また、歯茎の充血も当初はなかなかひかず、心配していま
した。

毎回、グリグリと掃除していただく治療の度には少しずつすっきりしていまし
た。
途中、痛烈な痛みが復活したのは、今でも不思議ですが・・・。

次第に掃除の際の痛みがなくなったので根充となったようですが、歯根がまった
くすっきりしたわけではありません。炎症が残っているので仕方ないのでしょう
か。

それと、そもそも
神経がないのに、なぜ痛いのでしょうか。

素人には理解できないのです。

この歯の異変から1年半ほど経過しています。
治療期間が長くなるのは覚悟していますが、今の状態でいいのか気がかりです。

歯科では、いつも口を空けっぱなしなのと、患者さんが次々と待っておられて先
生一人で立ち回っていますので、ついつい聞きそびれることもあります。

レントゲン画像に炎症の影があるうちは
痛みがあるのでしょうか。

事例がありましたら教えてください。

宜しくお願いいたします。

【Answer 69 part2】

歯が痛いのは、歯の外側の歯茎や骨に炎症があるからで、歯の神経をとっても
歯の外側の痛みは残ります。
http://www.konkanchiryou.com/page/01shinkou.htm

レントゲン画像の炎症の影と痛みは必ずしも関係はないです。

治療の質に関しては、はっきりいうと日本の多くの根管治療の質はとても低いです。

一番の要因は、保険診療で根管治療の費用がとても低く抑えられているからであること、加えて専門医制度がないことなどです。


多くの歯科医はやる気をなくしています。
アメリカで1000ドルの治療がどうして5000円でできるでしょう?日本の根管治療の費用はおそらくアジアと比べても格段に安いです。

話がそれましたが、そういった理由で、日本で根管治療を正しく受けるにはかなり医院の選別が必要だということです。