自己診断
お痛みだけで病状の全てを把握することはもちろんできませんが、ここでは自覚症状による診断に関して記述しようと思います。根管治療に関連する痛みは歯髄炎(虫歯の痛み)と急性根尖性歯周炎に大別されます。
冷たいもので痛む、虫歯治療後の痛みなど
いわゆる虫歯の痛み。可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎がある。不可逆性歯髄炎の場合は抜髄の適応になる。可逆性歯髄炎の場合、正常に戻ることもある。神経に近い、深い虫歯を治療したときにセメントで埋めて経過観察するのは、可逆性の歯髄炎か、または不可逆性の歯髄炎かを判別するためである。これを待機的診断という。
- 可逆性の歯髄炎
虫歯など痛みの原因を除去することにより、正常な状態に戻り、痛みが楽になる。鋭く短い痛みを特徴とする。知覚過敏も含まれる。歯髄の保存が可能である。
- 不可逆性の歯髄炎
急性歯髄炎の症状・・・初期では冷たいもので持続的に痛む(1分以上)
→何もしなくても痛い(自発痛)
→次第に痛みが持続性、拍動性をもつようになる。
咬むと痛い
歯髄症状(冷たいもので痛いなど)に加え、咬合痛がある時は歯髄壊死による根尖周囲の炎症の可能性がある。打診痛のみで歯髄症状がないときは咬合調整で経過をみる。他に、咬むと痛む場合には急性根尖性歯周炎が疑われる。
- 急性奨液性根尖性歯周炎
物理的刺激、化学的刺激により一過性に起こる(非細菌性)
歯が浮く感じ、咬むと響く。治療で触った後の痛み、抜髄後の痛み
- 急性化膿性根尖性歯周炎
1. 歯根膜期→骨内期→骨膜下期→粘膜下期→排膿と経過をたどる
2.鈍痛→拍動性、持続性の痛み、リンパ節の腫脹、根尖部の腫れ、強い打診痛み、歯の動揺、顔面の腫脹
根管治療後の痛み
根管治療後(抜髄、感染根管治療)後に治療の刺激(化学的刺激、物理的刺激、細菌性の刺激)により起こる。頻繁に受ける質問に、「歯の神経を取ったのにどうして痛いのですか」と聞かれることがあるが、歯の神経を取って緩和されるのは歯髄炎の痛みであり、歯根周囲の炎症、つまり根尖性歯周炎は、根管治療後の術後疼痛の原因となる。
1.急性奨液性根尖性歯周炎
2.急性化膿性根尖性歯周炎
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