根管治療専門医相談室

根管治療専門医、新藤健太郎がお答えします。

271.抜歯以外の治療方法は本当に考えられないものでしょうか?

【Question 271】

アメリカ・テネシー州に海外赴任中のものです。

6歳になる息子の虫歯治療で抜歯治療を勧められて困っていまして、ご相談させていただきます。

[息子の歯の症状について]
1週間前くらいから、たまに歯が痛いと言い出しました。
慢性的ではなかったため、いつものようにフッソを使用し磨いていました。
しかし食べ物を噛むと痛いと言い出したので、昨晩見てみたところ、左奥から2番目の歯の詰め物が抜けた所の歯茎に、素人目には口内炎と思われる炎症を発見。痛みを断続的に訴えるようになったため、今日小児歯科を予約の上、行ってきました。また、口内炎=ビタミン不足と思い、昨晩サプリメントを飲ませました。そのせいか、今朝は腫れも引いたのですが、よく口内炎で見るような白い斑点(膜状)のものが外側と内側に出ていました。

[息子の体調について]
ちなみに息子は3日前から体調を崩しており、風邪薬を飲ませていました。昨日は一時体温が38度に上がりましたが今朝は平熱に戻っています。

[小児歯科での診察]
医師に初診してもらったところ、まず炎症の箇所を少し押したところ、白い膿のようなものがでてきました。口内炎だと思うと伝えたところ、医師の答えは「口内炎ではなく、虫歯からくる歯茎の感染による腫れものだ」との答えでした。レントゲンを見ながら、歯間の薄く影のように見える箇所を指しながら、
‐ 詰め物でカバーしきれずに虫歯の菌が入り込み、根管まで達している可能性が高いこと、
‐ 今回は歯茎から膿が出たからまだ良かったものの、ほっておくと歯の内部から顎などにかけて酷く腫れてくる可能性もあり、そうなった場合は病院に2~3日入院しなければならない事態も起こりうること、
‐ このような状況になっていると思われる下の右左両側の奥から二本目の各一本ずつの計2本の虫歯は抜歯の必要があること、
‐ また、抜いた跡は間隔をキープするために、ステンレススティール製のスペーサーを填める必要があること、
‐ その2本以外に、日本で埋めた歯は全て根の治療後銀歯をかぶせる必要があること、
‐ 具体的には、下の左と右の一番奥の歯1本ずつ(計2本)、上の左右両方の奥から2本目(計2本)、上の左側の奥歯の合計5本について、治療後に銀歯を被せる
‐ 以上の治療計画を提案されました

通常、奥歯は11歳くらいで乳歯が抜けると聞きました。
今息子は6歳になるところですがこんなに早くに抜いて大丈夫でしょうか?息子が引き続き成長期ということで、抜歯後にスペーサーを入れる、という措置が発育に及ぼす潜在的リスクはないのでしょうか?

こちらの医師によると、治療方法は中長期的に考えて、抜歯以外にはない、と断言されましたが、抜歯以外の治療方法は本当に考えられないものでしょうか?できれば歯を温存する治療方法を選択したいと思っています。

もう一点、もしアメリカでは根管治療を請合ってくれる歯科医がいなかった場合、最悪は日本に帰国して治療することも検討しないといけないかと思っています。ただし、今回問題の歯は日本に在住の折、幾度か治療を受け詰め物治療をしてもらっている箇所になります。従って、もし帰国しても、同様の治療を受ける限り、再度虫歯の再発、再度根管治療のリスクがあるということになりはしないか、不安です。そこで、万が一日本に帰国した場合、どういった専門性を有する歯科医を、如何にして探すべきでしょうか。

色々と質問を重ねてしまい恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします。

 

【Answer 271】

根管治療.com の新藤健太郎です。早速ですが本題に入ります。

右左両側の奥から二本目は、第1乳臼歯だとすると、抜けるのは8歳から10歳くらいの間だと思われます。
従って6歳時点で抜くとなると、補隙装置である、スペーサーが必要である事は同意します。治療に伴う大きなリスクはないでしょう。
問題は、抜くべきか保存すべきかというところです。
アメリカは抜歯の判断が日本より早い傾向にあります。アメリカでは医療訴訟を避けたい傾向が強いです。

日本で専門性を有する医者は、インターネット等で探す他ありません。
小児歯科、あるいは根管治療の専門医が該当しそうです。
あるいは通うなら大学病院でしょう