根管治療専門医相談室

根管治療専門医、新藤健太郎がお答えします。

280.歯髄の炎症と抗生物質について

【Question 280】

1か月前に、歯のチェックとクリーニングにいくと、虫歯が見つかり、いつもの普通の虫歯のように削って、詰めて治療が終わりました。それまで、この歯は、全く何の痛みもなく、口の中は、いい状態で、自分では、虫歯であることさえ気がつかない状態でした。

と ころが、今まで、このような経緯で、麻酔の注射も必要なくいくつもの虫歯の治療をしてきましたが、今回の虫歯の治療だけは、治療中のときから、今までとは 違う何かを感じていました。今までの治療とは何か異なるようなことをされてしまった、削っていけないところまでを削られたような感じがあり、治療中にも、 そのことを感じ、また、詰め物をした直後にも、鋭い痛みを感じたため、何かおかしいと不安でした。先生に伝えても、問題はないということでしたが、
やはり、その後、今まででは、ありえないような虫歯治療後、異様な痛みがでてきてしまいました。

この虫歯治療のために、歯髄がダメージを受けたようで、通常では、今まで通り治るものが、逆に、悪化してしまったようで、こんな虫歯治療ならば、しなければよかったと悔やんでいます。が、深めの虫歯だったようなので、ミスなのか、しかたがなかったのかは、わかりません。

1 週間後、嫌な鈍痛が続き、痛みがひかなく、冷たいものもしみるので、みてもらうと、知覚過敏なので、心配する必要はないということで、薬を塗ってもらいま したが、痛みは、激痛に変わり、その歯にふれるだけで、痛むようになり、食べることも寝ることもおっくうになっています。再度、診てもらうと、歯髄が炎症 をおこしているようなので、とりあえず、抗生物質と鎮痛剤で様子をみるということで、現在、服用中です。痛みは、今のところなんとかおさまり、眠ることは できるようになりましたが、鈍痛があり、薬をのまないと、痛みがすぐにもでてきそうで、おかしな感じです。冷たいものも熱いものも、しみるというよりは、 それらの刺激を不快にどんよりと感じるといった感じです。かむと痛いので、普通に食べられません。

元来、神経をとる必要もなかった歯が、 不適切な治療によって、虫歯菌によるものではなく、神経がダメージを受けてこのようになってしまったようにも思われとても残念(泣)なのですが、このよう な炎症は、抗生物質の投与により、治り、神経を残すことはできるのでしょうか?(治療前の元のようにもどりたいのですが。) それとも、残念ながら、根管 治療の対象になってしまうのでしょうか? 薬がきかなくなり、痛みが増してきたらとおびえてもいますが、どうすればいいのでしょうか?

痛みがなくなると、神経が死んでしまったということになり、そこから、治療が始まるのでしょうか?それとも、今後のことを考えると、神経が生きていても、治療をすぐにでも、始めた方がいいのでしょうか?

今まで、虫歯の治療で、このようなことがおこったことがなかったので、途方にくれております。 長くなり、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 

 

【Answer 280】

根管治療.com の新藤健太郎です。早速ですが本題に入ります。

メールの調子が悪く、今回はメールでのお返事ができなかったので、この場でお返事申し上げます。

お痛みの状態から、痛みの有る歯は歯髄炎になっていると思います。

抗生物質の投薬は歯髄炎には効き目がありません。また、抗生物質を用いる3MIX療法も歯髄炎には効きません。

今の状態は、既に歯髄炎から歯髄壊死に以降している可能性があります。

いずれにしても早めに根管治療を行った方が良さそうです。

 

 

 

231.歯髄が取り残されている可能性があります

はじめまして。治療に行き詰ってしまって困っております。
宜しくお願いします。
今年はじめに右上7番が歯髄炎となり、抜髄しました。
9月に治療が終わりましたが、いまだに打診痛、時に自発痛があり、困っております。
そもそもこの歯は15年ほど噛むと痛んだり、歯茎がはれたり
出血したりしていましたが、なるべく神経はとらないという歯医者さんの方針でなんとかしのいでおりましたが、とうとう歯髄炎をおこし、抜髄しました。
しかし、抜髄をしても打診痛、時に自発痛もあり抜髄後5ヵ月ほどで根管治療専門ではありませんが、マイクロスコープを使っていただける医院に転院しました。
そこでCTをとっていただき、歯折はありませんでした。
また4本目の根管がみつかり、感染していたため処置していただきました。
先生のお話では「痛みの原因はよくわからないが、4本目の根管が原因かもしれないし、3本ある神経の横に大きな側枝があればそこは処置ができないので痛みがとれないかもしれない。また根っこの一本が曲がっているのでそこは薬で処置するしかない」ということでした。
マイクロスコープを使っていただき、処置していただきましたが、処置の際、毎回痛む箇所がありました。
そして、結局痛みは残りましたが、とりあえず様子を見るということで充填し、クラウンをつけていただきました。
しかし、3ヵ月ほどたった現在、痛みが以前としてあり、大学病医や専門医への転院も視野に入れて今後どうしたらいいか途方にくれております。
歯の痛む場所は7番全体ではなくピンポイントで、頬側の6番寄りの部分です。
また嘔吐反射が強いため、笑気麻酔をするほどではありませんが、治療は大変苦しいです。
長引く歯の不具合に少々疲れてしまっています。
どうかご教示ください。

【Answer 231】

根管治療.com の新藤健太郎です。早速ですが本題に入ります。

7番の近心頬側がピンポイントで痛むとのことで、歯髄が取り残されている
可能性があります【残髄】。「根っこの一本が曲がっているのでそこは薬で処置するしかない」とのことなので
疑いは強まります。
曲がっている根管は上手な先生だと処置できるかもしれません。
これはマイクロスコープの問題ではなく、担当医の技術に依存する処置です。

現状がしっかり根管治療されているならば、痛みが落ち着くまで1年くらい様子を見る場合もありますので
専門の先生の診察を受けたほうがいいでしょう