根管治療専門医相談室

根管治療専門医、新藤健太郎がお答えします。

【Question 347】

> 先月に根管治療をしましたが、一月後にフィステルができ再発して今大変不安でいます。
> 現在は仮歯です
> 前医にやるべきことはやった言われたのですが、ラバーダムは使わず、マイクロスコープもユニットが空いているときに使用しました。
> 納得のいく再治療を受けたいと強く思っています。
>
> 通院回数はどのくらいでしょうか。
> また、先生のところで使用されてる根管の洗浄薬と根管の無菌であることの確認はどのような方法で行うのでしょうか
> 過去の回答には細菌の培養検査のことが書いてありましたが、知人で根管の中をカリエスチェック薬で菌が確認できなくなるまで根管治療したことをききましたがこのような方法もあるのでしょうか。
> 先生のお考えを伺えたらと思います。
> よろしくお願い申し上げます。

【Answer 347】

根管治療.com の新藤健太郎です。

根管治療の究極的な目標は無菌化なのですが、実は感染根管は厳密に言えば、どんな治療をしても無菌になることはありません。
従って、根管治療の実際は、歯が有害にならない程度に細菌の数を減らすことになります。

細菌の培養検査は、東京医科歯科大学の専門外来でも行いません。また、当院でも行っておりません。

その理由は、嫌気培養システムの臨床的評価は定まっておらず、時間がかかること、
結果として細菌が居ても居なくて治療法や治療手順は変わらない事が最大の理由です。 洗浄液は次亜塩素酸水溶液を使用します。多くの歯科医院で採用されている一般的な物です。

根管の中をカリエスチェック薬で染めるやり方は根管治療においては一般的ではありません。カリエスチェックで無菌化の判断はできません。
カリエスチェックはその名の通り、虫歯治療の検査薬です。しかし、根管内(正確には根管の上部付近)に虫歯が進行している場合は、カリエスチェックを使用することも考慮します。

根管治療は多くても3回程度で終わります。結果治らなければ外科治療に進みます。

 

161.根の方に菌がありそうと言うことと、金属片が見えると言うことでした。

【Question 161】

こんにちは、今とても歯の治療の事でひとりで悩んでいます。
4年ぐらい前に右上6番目の歯を神経を取りました。
去年ぐらいに、その歯が痛くなり、被せををとり、洗浄してかぶせなおしました。が、また最近痛くなり、転勤のため新しい歯科に行くと、レントゲンで見ると、根の方に菌がありそうと言うことと、金属片が見えると言うことでした。あと、上顎洞が下にきているので、再治療は、難しいと言われました。インプラントをどうも進められているようでしたが、手術の怖さおおがかりなのと金額の高さにできれば、根管治療で治したいのですが、先生からみても難しいでしょうか?
もし、抜歯するようになれば、義歯はどれくらいかかりますか?
今回、いろいろネットで調べていくと、歯の治療は大変難しい事がよくわかりました。怖くもなりました。
4月に神戸から千葉市に引っ越ししてきましたので、まだまだ地理もわからず、先生の場所も通いたくても遠いのが残念です。
最後に長文になり申し訳ございません。
アドバイスの方宜しくお願い致します。

【Answer 161】

こんにちは、根管治療.com の新藤健太郎です。
早速ですが本題に入ります。

1根の方に菌がありそうと言うことと、→根尖性歯周炎の疑い
2金属片が見えると言うことでした。→器具の折れ込みの疑い
3上顎洞が下にきているので→外科的歯内療法が難しい

以上から、再治療が難しいとの判断ですね。
去年痛んだ歯が今年も痛くなった事を考えると、治りにくい状態なのかもしれませんが、

そもそも去年の治療の精度が疑わしいので、治らない歯とは断定できません。
根管治療を得意とする先生にセカンドオピニオンを求めるべきでしょう。

抜歯した場合
・5番と7番を削るブリッジ
・部分入れ歯
・インプラント
・親知らずの移植

などの治療法が考えられます。
費用を考慮しなければ、インプラントが確実で安定的かもしれません。
もっとも一般的なのはブリッジですが、歯を削ること、保険診療では5番が銀色になるので、その点も考慮したほうがいいでしょう。

106.充填しても菌が残っていたのではまた再発してしまうのではないかと心配しています。

【Question106】

新藤先生、はじめまして。
現在、右下奥歯2本を保険診療外の根管治療を受けています。次回が2回目の治療で、充填する予定です。
ところで、充填しても菌が残っていたのではまた再発してしまうのではないかと心配しています。菌がいないことをどうやって確かめるのですか?現在治療を受けている歯科医院では、経験があるから大丈夫という回答だけで、具体的な説明が聞けません。
お忙しいところすみませんが、教えてください。
よろしくお願いします。

【Answer 106】

根管治療.com の新藤健太郎です。
早速ですが本題に入ります。
ごもっともな疑問ですね。
しかし、根管治療においては細菌検査は行いません。
強い炎症が起こっている場合に、実験的に非常にまれに行うこともあるようです(研究レベル)。

・細菌検査を行わない理由は、根管の中の細菌を正確に培養し、同定するのが困難なこと。
・細菌がいてもいなくても、行う治療は同じで、さらにその治療には限界があること(つまり細菌を全部殺すことは事実上不可能ということです。)
http://konkanchiryou.com/page/02genkai.htm

根管治療の究極的な目的は「無菌化」ですが、実際に行うことは「歯を無害にすること」です。
もっとはっきり言うと、害がない程度の多少の細菌には目をつむるということです。

実際に根管充填は、出血、膿などが出ていないなどを確認し行われています。これはアメリカでも同じです。